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人事の本音|嘘を暴け!失敗しないブラック企業の見分け方

就職活動の不安の一つに「入社した会社がブラック企業だったらどうしよう?」がありますね。

企業の人事は、当然ですが自社がブラック企業だなんて言ってくれません。

素直な学生ほどバカを見る可能性があります。

企業がオープンにしている情報でブラック企業であるかを見分けるのは簡単ではありません。

今回はそんなブラック企業の見分け方をご紹介していきます。

ichi

筆者は人事歴約15年、社員数約1,600名の会社で人事マネージャーをしています。

ブラック企業の定義

厚生労働省においては、「ブラック企業」について定義していませんが、一般的な特徴として下記の3つを記載しています。

  1. 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す
  2. 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い
  3. このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う

厚労省では「労働基準関係法違反に係る公表事案」を発表しており、ブラック企業リストなんても言われています。

具体的には、違法な時間外労働や残業代や賃金の未払いなど労働基準関係法の違反をした企業や事例が載っています。

最も多いのが「労働時間に関する違反」ですね。

しかし、このブラック企業リストは、法令違反の企業であり、ある種わかりやすい企業です。

もっと厄介なのが、違反がばれないようにしている企業やすれすれで行っている企業です。

ブラック企業の定義は人ぞれぞれ

前述した通り、ブラック企業に定義はありません。

ただ一般的な感覚だと「残業が多く、ノルマもきつい。休日出勤は当たり前で、怒号が飛び交う職場」ってところでしょうか?

インターンシップや会社説明会などでは、実態がわからないことも多いです。

人事がうまく隠そうとしているケースもあるでしょうし、そもそも残業が多いことやノルマがきついことについて、苦だと思っていない方かもしれません。

「残業が多く、雑談もない」

これは法定を超える長時間労働はNGですが、範囲内のギリギリだったらどうでしょう?

人によってはブラックだというでしょうし、逆に働くことが好きでたくさんの経験を積める時間が多いと捉える人もいるかもしれません。

「ノルマがきつい」

ノルマを達成しないと給与カットされるとか、怒鳴られるとかならブラックですね。

しかしこれも、つらいノルマをクリアすることがやりがいと感じたり、個々人の成長や顧客の満足度向上を追求している優良企業かもしれません。

このように、一見ブラックでもその人の価値観によって違うのです。

少し余談ですが、面接もそうです。私の面接は話しやすいと言ってくれることが多いです。

しかし、私は全く意図していないのに、質問を繰り返すことを圧迫面接ととらえる人もいます。

何が言いたいかというと、人によって解釈は違うということ。

だから、自分がどの程度は許容できるか、何を職場に求めているかで変わってくるので、人からとやかく言われる筋合いはないのです。

自分がどのような環境では働きたくないか、逆にここまでは自己成長のために許容範囲だというレベルを考えておくといいです。

ブラック企業の見極めポイント

給与が相場よりも高い(低い)

ノルマがきつい、残業時間や休日出勤がすごい場合があります。時間単価でみたら案外給与が高いとは言えない可能性もあります。

「20代で年収1,000円目指せます」なんて表現をよく見かけますが、社会人ならこんな会社恐ろしくて入社しようとは思いませんが、学生は夢を感じて入社してしまうんですよね。

労働条件についての説明が曖昧

実際に入社したら、思っていた給与体系と違うなんてケースはざらにあります。

「みなし残業制」の悪用や残業代不払いなどになりかねないのでしっかりチェックしてください。

すぐに内定が出る

選考回数が少ないことは、応募者にとってはうれしいことかもしれません。

しかし、これって単純に応募者が少ないだけ、すぐに内定を出して囲い込みたいだけの可能性もあります。

すべてではありませんので、なぜ選考回数が少ないのかを理由を確認する必要があります。

社員数に対し採用人数が多い

社員数に対し、採用人数が多いのは危険です。シンプルに考えると、離職者が多いのかもしれません。

社員数に対し、10%以下の採用人数であれば問題ないですね。

これを超える場合は理由が何なのか?事業拡大で先行きが問題なさそうであればいいのですが、それがはっきり見えないのであれば危険です。

事業拡大中だから問題ないという企業も少し疑いの目で見てください。

仮に社員数の30%や40%の人数を新卒で採用した際に、本当に教育できるのか?新卒だらけで成果が出せて、事業が拡大できるのか?

年齢層に偏りがないか(平均年齢・勤続年数もチェック)

設立年数によって違うので一概に言えませんが、平均年齢や勤続年数は一つの指標になるでしょう。

「若手でも活躍できる」という企業には注意してください。

「若手の活躍」も、「成長」「夢」と同様に、学生に響く表現です。ただ、この場合、「なぜ活躍できるのか」という理由を気にするべきです。

特に若くして店長やマネジャーなどに昇進・昇格できる企業もあるものの、研修などのサポートが充実していないまま登用するために、疲弊するだけという企業も存在します。

さらに、若手時代の後はどうなるのかも考えておきたいところです。若手を使うだけ使って、使い潰す企業である可能性があります。

3年後離職率

大卒の新卒離職率は約30パーセント。業界によって違いはありますが、30%を指標としていいでしょう。

  • 35%以上:ブラック
  • 25%~35%:グレー
  • 25%以下:ホワイト

聞きづらい質問ですが、すごく重要です。今は公開している企業も多くなってきています。

入社を真剣に考えている会社であれば必ず確認してください。

聞きづらいなんて思って聞かずに入社したのちにすごい離職率の会社だと知ったら後の祭りです。公開しないように勇気をもって聞きましょう。

人事担当者としては、裏がなければ聞かれて困ることはないです。

もしそれで、人事がいやな顔をしていたり、落とされるようなことがあれば、その程度の会社なのです。入社しなくてよかったと割り切ってください。

その基準に対し、実際どうなのかを質問したりして、確認していくのです。

入社してからでは遅いのです。必ず確認してください。

人材紹介会社を活用

就職活動では、人材紹介会社の利用も有効です。

人材紹介会社をうまく使えば、内定の近道です。

キャリア採用では、エージェントを利用するのが一般的です。むしろ、人事の私が転職するなら、エージェントを利用しないという選択肢はないです。

新卒においても一般化しています。食わず嫌いせず、どんなものか試すことをお勧めします。もちろん無料ですので。

人材紹介会社の有効活用方法については下記の記事でも紹介しています。

【人事が教える】人材紹介は就活生の味方?有効活用方法と裏ワザ 就活で人材紹介って、利用したことない方はやや不安ですよね。 しかし、人材紹介を有効活用することは就活成功の近道にもなります。 ...

まとめ

人事は自社がブラック企業だなんて教えてくれません。

人事の仕事は目標人数を採用することですからね。

さらに一般的にはブラック企業ととらえられる内容も言い方次第ではホワイトに聞こえることもあります。

人事の方も自分にそう言い聞かせて「結局は本人次第でしょ?」と割り切ってやっている人も少なくありません。

私も合同企業説明会や採用イベントで多くの企業も見ますが、「あーこういう伝え方するのねー」とあっぱれに感じることもあります。

社会やその会社のことを知っている人ならいいですが、学生の方は難しいですよね?

企業選びは、すべてを理解して決めることはできません。

その会社に会うか会わないかは最終的には入社してからでないとわかりませんが、事前に知るべきポイントは抑えて、あとで絶対に公開しないようにしましょうね。

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