学生の方からよく「業界が絞れていないのですが、それはまずいでしょうか?」と質問を受けます。
ぼくからしても「絞るってとても難しいよなー」と思います。
結論から言うと1つに絞る必要はありません。
人事としての本音をお伝えしていきますので参考にしてみてください。
筆者は人事歴約15年、社員数約1,600名の会社で人事マネージャーをしています。
「業界を絞れ」と言われる一般論

「業界を絞れてない奴はダメだ」なんていう面接官の方がいるんですよね。
また、学校のキャリアセンターも「絞ること」を勧めてきます。
全く絞れていないのはまずいでしょうし、絞ることのメリットのも当然ありますので、絞ることがダメだということはありません。
むしろ絞れることに越したことはないでしょう。学生目線でも絞れていた方が業界研究や企業研究がしやすいメリットがあります。
しかし、なかなかそうはいきません。そんな簡単に絞れませんよね?
なぜ一般的には企業側はそのように言うのか?
- 自身のビジョンが描けている学生だと思えるから
- 志望度が高いと感じることができるから
要は、この学生に内定を出したら本当に自社に入社してくれるのか?
入社後も浮気心が出て、「やっぱり他の業界が良かったです」とか言って辞めてしまうのが怖いのです。
業界を最初から絞り過ぎるデメリット
業界を絞ることは方向性としてはいいことです。
しかし、最初から絞りすぎるのは超危険です。
もともと憧れを持っていた業界や就活当初に出会った業界に魅力を感じ、恋は盲目かのように突き進んでいく学生にたまに出会います。
極端な例で言うと、魅力を感じた1社に集中する学生もいます。
そのような学生は失敗する可能性が高いです。
「好き」と「得意(向いている)」は違うのです。
ぼくも今までそのような方に就活後半期に出会ったことが何度かあります。
就活後半期の夏頃、追加募集で出会った学生が、自社にはマッチした優秀な学生でした。
「なぜこれまで内定が出なかったのか」と理由を尋ねると、とある業界に絞って選考を受けてきたそうです。
結果は全滅。
とても志望していた業界だったのですが、企業側からは「No」と言われてしまったのです。
ミスマッチ。求める人物像と合わなかったのでしょう。
そして本人は、それから他の業界や企業の話を聞き始め、すでに大手企業の採用活動はほぼ終わっており、少数枠の夏採用や中小企業に応募し就活を進めていました。
本人がその時感じたことは、自分の知らなかった業界がたくさんあり、面白い、興味を持った企業がたくさんあったそうです。
ぼくはよく「就活は知ることから始めなさい」と早期に会う学生には伝えます。
仮に志望している業界があっても、他を知ることは、志望している業界との比較が知れる。改めて志望業界の良さが認識できる。
もしくは新しい発見ができるかもしれません。
新たに話を聞いた業界に魅力を感じなかったら、「この業界は違った」ということが明確にわかるのです。
それは、マイナスではありません。少し時間は費やしたかもしれませんが、知ることができたのです。
今の就活スケジュールで言うと少なくても大学3年生の2月までは、絞りすぎる必要はないと思います。
相当後悔していましたね。もっと早くに多くの企業を見ておけば良かったと。
業界の絞り方

業界の絞り方は大きく分けて2つ。
まずは好きなことから連想し、それに関わる業界は何かを調べていく方法。
最初は、スポーツが好きだから「スポーツメーカー」がいい。そのような誰でも発想する企業しか出てこないでしょう。
正直そのような会社はかなり激戦です。
スポーツでもテニスが好き。そうするとボールやラケット、シューズやユニフォーム、コート運営、コートを作る仕事、スポーツを伝えるメディア、メディアであれば他の分野でもいいなど、いろいろ連想していけます。
このような好きなことから連想していくやり方もありますが、同時進行で新たな発見をしていく方法も必要です。
学生の皆さんが知っている業界は今までの生活で関わってきたり、興味を持っているごく一部です。
実際にはいろいろな業界、企業が存在しています。
そのため、できるだけ早くから「知る」行動を増やし、話を聞いていく必要があります。
やりたいことの見つけ方は別の記事で書いていますのでそちらをご覧ください。

業界を絞ってない場合の面接での受け答え

業界は全く絞らなくていいのか?
全く絞らないのは、さすがにお勧め出来ません。
と言うのも、結局は皆さん自身がその業界や企業を調べないといけません。
それがバラバラであればあるほど、業界研究に時間がかかります。
1つに絞れとは言いませんが、5つぐらいの業界までに絞るのがいいでしょう。
でも5つもあると面接で「業界が絞れていないようだけどなぜ?」とか聞かれないか心配ですよね。
なかには聞いてくる企業もあるでしょう。
何なら1つに絞れていないだけでチクチク言う企業もあるかもしれません。
その時は、「業界は少しバラバラかもしれませんが、私には○○という企業選びの軸があります。そのため、業界は違っていますが、同じ共通点があり、私の中でのしっかりと企業選びが出来ています。」と伝えれば大丈夫。
全く軸もなく、「それぞれいいところがある」といった理由では説得力がなく、企業からはこの方はフィーリングで事を進めていくタイプだと判断される可能性が高いです。
それだと自社のこともあまりしっかりと考えられていないだろうと思われます。
1つに絞らなくていいので、そのようになっている理由を明確に伝えられるようにしておく必要があります。
人事の目線で見ても、業界を1つに絞ることの大変さは百も承知です。
この情報化社会で、多様な業界、企業がある中で就活生である学生が1つに絞るなんて無理ですよね?
「1つに絞っていないとダメと」いう方は、自身の就活の時にやりたいことが見つかっていたごく一部の方だったり、年配の方で時代的に成長産業が明確だったりします。
もし、1つに絞れていなかったことが理由で不合格になるようであれば、ぼくから言わせると縁がなかった。むしろラッキーだったと思います。
そのような会社に仮に入社しても、考えや体質が合わなく早期離職につながる可能性が高いです。
しかし、多くの企業はそんなことを気にしていないから大丈夫。
と言っても、理由がないとダメですよ。前述したように、なぜその企業と別の業界の企業を受けているのか?これは必ず伝えてください。
おすすめ本
就活に自己投資は必須です。人生の大事な道筋を決める重要な時期です。けちらず、お金を払ってでも情報収集を積極的に行いましょう!
「会社四季報」業界地図 2022年版
業界と言われても良くわからないと思いますので、まずはこれをさっと見て、業界研究をしてください。
どの業界にどのような会社があるのか、業界の将来性などがわかります。まずは知ることを行ってください!
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ビジネス書になりますが、就活面接でも大いに役立つ内容。
自分が言いたいことを言えばいいのではなく、短い時間で相手にどう伝えるかが重要。これを読めば「何が言いたいの?」とはもう言わせません!
まとめ
- 業界を絞りすぎるのは危険
- 業界は5つ前後が理想
- 業界を絞らない場合は、面接でその理由を軸に沿って説明すれば大丈夫
ここまでお伝えしてきたように無理に業界を1つに絞る必要はありません。
しかし、理由もなく、興味を持った企業をランダムに受けるもの注意。
多くの企業を知ることで企業選びの「軸」が定まってきて自然と業界はある程度まで絞られてくるでしょう。
何事もそうですが、楽して就活を終えようとするのは難しいです。
その業界や会社を調べ、好きになることが「志望度」となります。
まずは「知る」ことから始めましょう。
今日は、ここまで。

